第3部 第7章
非制限用法(継続用法)─ コンマ付き関係詞の訳し方
関係詞の前にコンマが付く非制限用法は、先行詞を限定せず、追加情報を提供します。語順リーディングでは「コンマが来た→補足情報が追加される」と処理するのがポイントです。制限用法との違いを理解し、どちらの用法なのかを瞬時に判断できるようになりましょう。
1非制限用法の基本概念
関係詞には制限用法(コンマなし)と非制限用法(コンマ付き)があります。制限用法は先行詞を限定しますが、非制限用法は先行詞について追加情報を提供するだけです。
語順リーディングでは、コンマが現れた瞬間に「追加情報モード」に切り替わります。関係詞節は本筋から離れた補足説明として処理し、関係詞節が終わったら元の文の流れに戻ります。
非制限用法の読み方ポイント
- コンマのシグナル: コンマが出たら「追加情報モード」に入る
- 独立性: 関係詞節は本筋とは独立した補足情報
- 戻り処理: 関係詞節が終わったら元の文の流れに戻る
- 和訳のコツ: 「〜、そしてそれは」「〜、しかもそれは」として訳す
制限用法との使い分け
制限用法は「数ある中から特定のものを選び出す」機能を持ちますが、非制限用法は「すでに特定されているものに情報を付け加える」機能です。固有名詞や特定された名詞の後では、通常非制限用法になります。
2前文全体を受ける, which の処理
例文
★★★
The government announced a new environmental policy last week, which has already sparked intense debate among citizens.
語順リーディング
The government
政府が何かをしそうな感じ。主語が確定。
announced
── ここまでが主語。発表した。何を発表したのかに注目。
a new environmental policy
新しい環境政策を。目的語が判明。
last week,
先週。時を表す副詞句。コンマが出現したので、何か追加情報が来る予感。
which
脇道に入った(非制限用法の関係詞節)。whichが前文全体の内容を受けている。「政府が新しい環境政策を発表したこと」について何か追加情報が来る。
has already sparked
── 脇道内の動詞。すでに引き起こした。何を引き起こしたのか。
intense debate among citizens.
市民の間で激しい議論を。関係詞節が完結。「政策発表が議論を呼んでいる」という追加情報だった。
和訳プロセス
① 単語のコアイメージをもとに意味をざっくり捉える
The government → 政府は
announced → 発表した
a new environmental policy → 新しい環境政策を
last week, → 先週、
which has already sparked → そしてそれはすでに引き起こした
intense debate among citizens → 市民の間で激しい議論を
announced → 発表した
a new environmental policy → 新しい環境政策を
last week, → 先週、
which has already sparked → そしてそれはすでに引き起こした
intense debate among citizens → 市民の間で激しい議論を
② コアイメージの範囲内で、文脈に応じ適切な日本語にする
**政府は先週新しい環境政策を発表したが、それはすでに市民の間で激しい議論を引き起こしている。**
whichが前文全体の内容「政府が新しい環境政策を発表したこと」を受けています。「それは」で受けることで、政策発表という出来事全体に対する反応であることが明確になります。
3複層構造を持つ非制限用法
例文
★★★
The research was conducted by Dr. Sarah Chen, who had spent years studying marine ecosystems before she joined our team.
語順リーディング
The research
その研究が。主語確定。
was conducted
── ここまでが主語。(受動態) 実施された。誰によって実施されたのか。
by Dr. Sarah Chen,
サラ・チェン博士によって。byで行為者が明示。コンマで追加情報の予感。
who
脇道に入った(非制限用法の関係詞節)。Dr. Sarah Chenについての追加情報が来る。
had spent years
── 脇道内の動詞。(過去完了) 何年もを過ごしていた。何をして過ごしたのか。
studying marine ecosystems
海洋生態系を研究して。studying以下が何年も過ごした内容。
before she joined our team.
彼女が我々のチームに加わる前に。beforeで時間的な前後関係を明示。関係詞節が完結。
和訳プロセス
① 単語のコアイメージをもとに意味をざっくり捉える
The research → その研究は
was conducted → 実施された
by Dr. Sarah Chen, → サラ・チェン博士によって、
who had spent years → そして彼女は何年もを過ごしていた
studying marine ecosystems → 海洋生態系を研究して
before she joined our team → 我々のチームに加わる前に
was conducted → 実施された
by Dr. Sarah Chen, → サラ・チェン博士によって、
who had spent years → そして彼女は何年もを過ごしていた
studying marine ecosystems → 海洋生態系を研究して
before she joined our team → 我々のチームに加わる前に
② コアイメージの範囲内で、文脈に応じ適切な日本語にする
**その研究は、我々のチームに加わる前に海洋生態系の研究に何年も従事していたサラ・チェン博士によって実施された。**
非制限用法の関係詞節の中にさらにbefore節が入った複層構造です。時制の流れは「過去完了(研究)→過去(チーム加入)→過去(論文実施)」となっており、チェン博士の経歴を時系列で整理して訳出しています。
4まとめ
- 非制限用法はコンマで導かれ、先行詞に追加情報を付与する機能を持ちます
- 語順リーディングでは、コンマの出現で「追加情報モード」に切り替わることを意識しましょう
- whichが前文全体を受ける場合は、「そしてそれは」「しかもそれは」で訳すと自然になります
- 関係詞節の中にさらに従属節が入る複層構造でも、基本的な処理手順は同じです
- 制限用法との違いを意識し、文脈から判断できるようになることが重要です
- 固有名詞や既に特定された名詞の後では、非制限用法になることが多いです
- 和訳では関係詞節の独立性を保ちつつ、自然な日本語として統合することが大切です
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