第6章 関係代名詞

目的格の省略 ─ 見えない関係代名詞を補う

関係代名詞の目的格(whom/which/thatなど)は、しばしば省略されます。語順リーディングでは「名詞の直後にS+Vが来た」タイミングで関係代名詞の省略を察知します。見えない関係代名詞を頭の中で補いながら、スムーズに読み進める感覚を身につけましょう。

1省略パターンの見抜き方

目的格の関係代名詞が省略されるのは、英語の経済性原則によるものです。「The book (which) I bought」のように、関係代名詞がなくても文の構造が明確であれば省略されます。

語順リーディングでは、名詞の直後にS+Vが現れた瞬間に「関係代名詞が省略されている」と判断します。この瞬間の察知能力が、英文を頭から読む上で重要になります。

省略を見抜くポイント
  • 名詞 + 主語 + 動詞の語順が現れたら、名詞と主語の間に関係代名詞が省略されていることを疑う
  • 省略されるのは目的格のみ(主格の関係代名詞は省略不可)
  • 関係代名詞節内では省略された関係代名詞が動詞の目的語になっている
なぜ目的格だけ省略できるのか

主格の関係代名詞は関係詞節の主語なので、省略すると文が成り立ちません。一方、目的格は動詞の目的語なので、省略しても文の骨格(S+V)は残り、意味が通じるからです。

2基本的な省略パターン

例文 1

The research paper she submitted yesterday received widespread attention from the academic community.

語順リーディング
The research paper
「研究論文」が登場。これから何かが述べられそう
she submitted yesterday
脇道に入った(関係詞節)。paperの直後にshe submittedが来たので、省略された関係代名詞(which)を補って理解する。「彼女が昨日提出した」という修飾
received
本筋に戻って述語動詞が登場。「受けた」
widespread attention
「広範囲にわたる注目」を受けた
from the academic community.
「学術界から」という発信源
和訳プロセス
① 単語のコアイメージをもとに意味をざっくり捉える
The research paper → その研究論文
(which) she submitted yesterday → 彼女が昨日提出した
received → 受けた
widespread attention → 広範囲にわたる注目を
from the academic community → 学術界から
② コアイメージの範囲内で、文脈に応じ適切な日本語にする
彼女が昨日提出した研究論文は、学術界から広範囲にわたる注目を受けた。
省略された関係代名詞whichが、関係詞節内でsubmittedの目的語として機能している構造。「論文」という具体的な成果が評価を得たという状況が描かれています。

3長い関係詞節での省略

例文 2

The technological innovation the team had been developing for three years finally proved to be a breakthrough in renewable energy.

語順リーディング
The technological innovation
「技術革新」が主人公として登場
the team had been developing
脇道に入った(関係詞節)。innovationの直後にthe team had beenが来たので、省略された関係代名詞(which)を補う。「チームが開発していた」という過去完了進行形
for three years
関係詞節が続く。「3年間にわたって」という期間
finally proved
本筋に戻って述語動詞。「最終的に証明された」
to be a breakthrough
「画期的なものであることが」判明した
in renewable energy.
「再生可能エネルギーにおいて」という分野
和訳プロセス
① 単語のコアイメージをもとに意味をざっくり捉える
The technological innovation → その技術革新
(which) the team had been developing → チームが開発していた
for three years → 3年間にわたって
finally proved → 最終的に証明された
to be a breakthrough → 画期的なものであることが
in renewable energy → 再生可能エネルギーにおいて
② コアイメージの範囲内で、文脈に応じ適切な日本語にする
チームが3年間にわたって開発していた技術革新は、最終的に再生可能エネルギーにおける画期的なものであることが証明された。
長い関係詞節でも省略のパターンは同じ。「3年間の開発期間」という時間軸が加わることで、成果の重みが強調されています。had been developingの継続感が、後のbreakthroughの価値を際立たせる構造です。

4まとめ

  • 目的格の関係代名詞(whom/which/that)は省略されることが多い
  • 「名詞 + 主語 + 動詞」の語順で省略を察知する
  • 省略された関係代名詞は関係詞節内で動詞の目的語として機能している
  • 主格の関係代名詞は省略できない(文の骨格が崩れるため)
  • 関係詞節が長くても、省略パターンの見抜き方は変わらない
  • 語順リーディングでは省略を補いながらスムーズに読み進める
  • 和訳では関係詞節を先行詞の前に置く日本語の語順に調整する

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