第6章 関係代名詞

関係代名詞の制限用法
─ 先行詞と関係詞の距離

英語を語順通りに読んでいると、名詞の直後に whowhichthat が現れることがあります。
これが関係代名詞です。「あの名詞について、もう少し詳しく聞かせて」という脇道の合図だと捉えましょう。
この章では、関係代名詞に出会ったときの頭の動かし方を身につけます。

1関係代名詞は「脇道」の入り口

語順リーディングでは、英語を頭から意味を蓄積しながら読みます。 名詞が登場したあと、すぐに動詞が来れば本筋が進みますが、関係代名詞(who / which / that)が来ると、いったん脇道に入ります

この脇道は、直前の名詞を「どんな?」「どういう?」と補足説明するものです。 ネイティブスピーカーの頭の中では、名詞を聞いたあとに関係代名詞が続くと、「ああ、その名詞についてもう少し情報が来るんだな」とリアルタイムで受け取っています。

関係代名詞に出会ったときの頭の動き
  • 名詞が登場 →「主人公(あるいは対象)が出てきた」
  • who / which / that が続く →「脇道に入る。この名詞について補足情報が来る」
  • 脇道の中の動詞 →「これは脇道内の動詞。本筋の動詞ではない」
  • 脇道が終わる →「補足情報を受け取った。本筋に戻る」

大事なのは、脇道に入っても慌てないことです。本筋の動詞はまだ先にあると構えて、落ち着いて補足情報を受け取りましょう。

関係代名詞の「制限用法」とは、先行詞(直前の名詞)を限定・特定するための脇道です。 たとえば「学生」だけでは誰のことか分かりませんが、「昨日プレゼンをした学生」と言えば特定できます。 英語では、この「昨日プレゼンをした」の部分を関係代名詞で後ろから付け足します。

「後ろから修飾」ではなく「脇道で補足」

関係代名詞は「後ろから名詞を修飾する」と習うことが多いですが、語順リーディングの視点では少し違います。読み手にとっては、名詞を見た後に「この名詞についての追加情報」がリアルタイムで流れ込んでくるイメージです。後ろから前に戻るのではなく、前から順に受け取っているのです。

2例文1 ── 関係代名詞の基本パターン

例文 1

The researcher who discovered a high concentration of microplastics in Arctic ice published her findings last month.

関係代名詞 who に出会ったとき、頭の中で何が起きるかを追ってみましょう。

語順リーディング
The researcher
──「ある研究者」が主人公として登場した
who discovered a high concentration of microplastics in Arctic ice
── 脇道に入った(who が合図)。「その研究者」について補足情報が来る。「北極の氷の中に高濃度のマイクロプラスチックを発見した」研究者。ここの discovered は脇道内の動詞であり、本筋の動詞ではない
published
── ここで本筋の述語動詞が現れた。脇道が終わり、本筋に戻った。The researcher(who節で補足された研究者)が主語だと確定。published は「発表した」→ この後に「何を」が来る
her findings
──「自身の研究成果を」。動詞の後ろだから「何を」にあたる
last month.
──「先月」。いつ published したかの情報が加わり、文が完結した
和訳プロセス
① 単語のコアイメージをもとに意味をざっくり捉える
The researcher who discovered a high concentration of microplastics in Arctic ice → 北極の氷の中に高濃度のマイクロプラスチックを発見した研究者
published → 発表した
her findings → 自身の研究成果を
last month → 先月
② コアイメージの範囲内で、文脈に応じ適切な日本語にする
北極の氷の中に高濃度のマイクロプラスチックを発見した研究者が、先月その研究成果を発表した。
publish のコアイメージは「公にする」。「出版する」「発表する」「公表する」など、文脈に合う訳語を選ぶ。ここでは学術的な文脈なので「発表した」が自然。findings は find(見つける)の名詞形で「見つけたもの」→「研究成果」「調査結果」。

3例文2 ── 関係代名詞の脇道が長い文

関係代名詞の脇道が長くなると、先行詞と本筋の動詞が大きく離れます。 しかし、やることは同じです。脇道の中の情報を落ち着いて受け取り、本筋の動詞を待ちます

例文 2

The new policy that the committee proposed after months of heated debate among representatives from twelve different regions has finally been approved by the board.

この文では、先行詞 The new policy と本筋の動詞 has ... been approved のあいだに長い脇道が入ります。語順通りに追ってみましょう。

語順リーディング
The new policy
──「新しい方針」が主人公として登場した
that the committee proposed
── 脇道に入った(that が合図)。「その方針」について補足情報が来る。「委員会が提案した」方針。ここの proposed は脇道内の動詞
after months of heated debate
── まだ脇道の中。「何か月もの白熱した議論のあとに」提案された
among representatives from twelve different regions
── まだ脇道の中。「12の異なる地域の代表者たちの間で」の議論。脇道がかなり長いが、慌てずに情報を受け取る
has finally been approved
── ここで本筋の述語動詞が現れた。脇道が終わり、本筋に戻った。The new policy(that節で補足された方針)が主語だと確定。「ついに承認された」
by the board.
──「理事会によって」。誰に承認されたかの情報が加わり、文が完結した
和訳プロセス
① 単語のコアイメージをもとに意味をざっくり捉える
The new policy that the committee proposed after months of heated debate among representatives from twelve different regions → 12の異なる地域の代表者間で何か月も白熱した議論を重ねたのちに委員会が提案した新しい方針
has finally been approved → ついに承認された
by the board → 理事会によって
② コアイメージの範囲内で、文脈に応じ適切な日本語にする
12の異なる地域の代表者間で何か月にもわたる白熱した議論を経て委員会が提案した新しい方針が、ついに理事会によって承認された。
approve のコアイメージは「良いと認める」→「承認する」「認可する」。propose のコアは「前に置く」→「提案する」。heated は heat(熱)から派生し「熱を帯びた」→「白熱した」。それぞれコアイメージの範囲内で文脈に合う日本語を選んでいる。

4まとめ

  • 関係代名詞(who / which / that)は「脇道の入り口」── 直前の名詞について補足情報が始まる合図
  • 脇道の中の動詞は本筋の動詞ではない。落ち着いて情報を受け取り、本筋の動詞を待つ
  • 脇道が長くなっても、やることは同じ。先行詞を頭に保持したまま、補足情報を順に受け取る
  • 本筋の動詞が現れた瞬間に、先行詞(+脇道の補足)が主語だと確定する
  • 「後ろから修飾」ではなく、前から順に情報を受け取るのが語順リーディングの感覚

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