第2章 修飾関係の整理

挿入の見抜き方 ─ カンマ・ダッシュに惑わされない

カンマやダッシュで挟まれた挿入句は脇道です。語順リーディングでは「挿入が終わったら本筋に戻る」と意識することで、文の骨格を見失わずに済みます。
挿入を一時的に頭から外し、主語と述語動詞の関係を確実につかんでいきましょう。
慣れてくると、挿入部分も含めて英語の流れのまま理解できるようになります。

1挿入句は脇道と割り切る

英文では、カンマやダッシュで挟まれた挿入句がよく現れます。これは日本語でも同じで、「彼は─私の記憶が正しければ─昨年転職した」のように本筋から脇道に逸れる情報です。

英語でも挿入は「筆者のコメント」「念のための補足」「言い直し」といった付加情報です。語順リーディングでは、挿入に入ったら「脇道モード」に切り替え、挿入が終わったら本筋に戻るという意識が大切です。

挿入句を見抜くポイント
  • カンマで挟まれる:I think, of course, howeverなど
  • ダッシュで挟まれる:補足説明、具体例、言い直しなど
  • 位置:主語と動詞の間、動詞と目的語の間など
  • 対処法:一度読み飛ばして文の骨格をつかんでから戻る
発展:挿入句の種類

挿入句には様々なパターンがあります。短い副詞句(of course, I think)から、長い説明句まで多岐にわたりますが、どれも文法上は「なくても文が成立する」という共通点があります。この性質を利用して、まずは挿入なしで文を理解するのが効率的です。

2カンマで挟まれた短い挿入句

例文

Climate change, I believe, poses the most significant threat to biodiversity in the 21st century.

語順リーディング
Climate change,
「気候変動が」という話題提示。カンマがあるので、何か挿入が来るかもしれません。
I believe,
脇道に入った(筆者の主観的コメント)。「私の考えでは」という挿入句。本筋ではありません。
poses
脇道から本筋に戻りました。「もたらす」。Climate changeがposeするという関係が見えます。
the most significant threat
「最も重大な脅威を」。poseの目的語。何に対する脅威かが続くはずです。
to biodiversity
「生物多様性に対する」。threatの修飾句。
in the 21st century.
「21世紀において」。時の状況。文全体の背景情報。
和訳プロセス
① 単語のコアイメージをもとに意味をざっくり捉える
Climate change, 気候変動は → I believe, 私は思うのですが → poses もたらす → the most significant threat 最も重大な脅威を → to biodiversity 生物多様性に対する → in the 21st century 21世紀において
② コアイメージの範囲内で、文脈に応じ適切な日本語にする
気候変動は、私が思うに、21世紀における生物多様性への最も重大な脅威をもたらしている。
「I believe」という挿入を「私が思うに」として自然に組み込みました。挿入があっても「Climate change poses threat to biodiversity」という基本構造は変わりません。

3ダッシュで挟まれた長い挿入句

例文

The research team ─ consisting of scientists from three different universities across Europe ─ discovered a new species of deep-sea coral.

語順リーディング
The research team
「その研究チーム」。主語候補。この研究チームが何をしたかが続くはずです。
─ consisting of scientists from three different universities across Europe ─
脇道に入った(補足説明)。ダッシュで挟まれた挿入句。研究チームの詳細な説明ですが、本筋ではありません。チームの構成メンバーについての付加情報。
discovered
脇道から本筋に戻りました。「発見した」。The research teamがdiscoverしたという関係。
a new species
「新しい種を」。discoveredの目的語。何の新種かが続きそうです。
of deep-sea coral.
「深海サンゴの」。speciesの修飾句。新種の正体が判明。
和訳プロセス
① 単語のコアイメージをもとに意味をざっくり捉える
The research team その研究チームは → ─ consisting of scientists from three different universities across Europe ─ ヨーロッパの3つの異なる大学出身の科学者たちから成る → discovered 発見した → a new species 新しい種を → of deep-sea coral 深海サンゴの
② コアイメージの範囲内で、文脈に応じ適切な日本語にする
ヨーロッパの3つの異なる大学出身の科学者たちから成る研究チームが、深海サンゴの新種を発見した。
長い挿入句を主語に組み込んで自然な日本語にしました。英語では「主語→挿入→動詞→目的語」の順でしたが、挿入部分も含めて「研究チーム(詳細)が発見した」という構造で理解できます。

4まとめ

  • カンマやダッシュで挟まれた挿入句は「脇道」として扱い、本筋とは区別して読む
  • 挿入に入ったら「脇道モード」、挿入が終わったら本筋に戻るという意識を持つ
  • 短い挿入句(I think, of courseなど)は筆者のコメントや副詞的な補足が多い
  • 長い挿入句(ダッシュで挟まれるもの)は詳細説明や具体例、言い直しが多い
  • 挿入があっても文の基本構造(S+V+Oなど)は変わらない
  • 語順リーディングでは挿入部分も含めて英語の流れで理解を目指す
  • 和訳では挿入部分を自然に組み込んで完成させる

5関連する記事

  • 2-2 関係詞節の流れ ─ 関係詞も一種の「脇道」。挿入と同じく本筋に戻る意識が重要
  • 2-3 同格表現の見極め ─ that節やダッシュを使った同格も挿入と似た構造を持つ
  • 3-1 分詞構文の位置感覚 ─ 分詞構文も文の途中に挟まれると挿入のような役割を果たす