第8部 第18章

関係詞+分詞構文の複合 ─ 脇道が何重にも重なる文

関係詞節の中に分詞構文があったり、分詞構文で始まった文に関係詞節が入ったりする多重構造を解読しましょう。
語順リーディングでは「脇道の中の脇道」を意識して、本筋の動詞を見失わないことが重要です。
これまで学んだ分詞と関係詞の知識を統合して、複雑な英文に立ち向かいます。

1概念の導入

英語の長文では、関係詞節と分詞構文が組み合わさった多重構造がよく登場します。例えば「関係詞節の中で分詞構文が使われる」パターンや「分詞構文で始まった主節の中に関係詞節が埋め込まれる」パターンなどです。

このような文の語順リーディングでは、脇道の中の脇道という状況が起こります。関係詞で脇道に入ったのに、その脇道の中でさらに分詞が現れて別の脇道に誘い込まれることがあるのです。

重要なのは、どの動詞が主節の述語なのかを常に意識することです。脇道が何重にも重なっても、最終的には必ず本筋に戻ってくる構造になっています。

語順リーディングのポイント
  • 関係詞や分詞が現れたら「脇道に入った」と明確に意識する
  • 脇道の中でさらに脇道に入る可能性を念頭に置く
  • 主節の動詞を見つけるまでは、すべて「主語の情報」として処理する
  • 各脇道がどこで終わり、どこに戻るかを丁寧に追跡する
発展:構造の見分け方

関係詞+分詞構文の複合では、カンマの有無によって構造が変わることがあります。制限用法の関係詞節内で分詞構文が使われる場合と、非制限用法の場合では情報の重要度が異なります。ただし、語順リーディングでは構造を後から振り返るのではなく、その時点の情報で判断していきます。

2例文1:分詞構文で始まり関係詞節が入る構造

例文 1

Having studied abroad for two years, researchers who work at our laboratory have developed new approaches to understanding climate change.

語順リーディング
Having studied abroad for two years,
脇道に入った(分詞構文) - 完了形の分詞で「2年間海外で学んだ後」という時間的前提を示している。主語が何か分からないが、後から明らかになる。
researchers
「研究者たち」が主語として現れた。先ほどの分詞構文の主語でもある。
who work at our laboratory
脇道に入った(関係詞節) - 脇道の中の脇道の状況。研究者たちを「私たちの研究所で働く」という情報で限定している。workは関係詞節内の動詞。述語動詞
have developed
関係詞節から抜けて主節の述語動詞が現れた。研究者たちが「開発してきた」という完了の動作。述語動詞
new approaches to understanding climate change.
「気候変動を理解する新しいアプローチ」が目的語。文が完結した。
和訳プロセス
① コアイメージでざっくり捉える
Having studied「完了した学び」→ 海外で2年間学習を完了 / researchers「研究する人々」 / who work「働く」→ 私たちの研究所で / have developed「発達させた・作り上げた」→ 現在まで継続する成果 / approaches「近づく方法」→ アプローチ / understanding「理解すること」→ 気候変動の理解
② 文脈に応じた適切な日本語
**2年間海外で研究した後、私たちの研究所で働く研究者たちは、気候変動を理解する新しいアプローチを開発してきた。**
Having studiedは時間的前後関係を示す分詞構文として「〜した後」と表現。developedは現在完了なので「開発してきた」と継続性を含む訳語を選択。approachesは学術文脈なので「手法・アプローチ」が適切。

3例文2:関係詞節内に分詞構文を含む複雑構造

例文 2

The scientific theory that emerged from experiments conducted by a team working tirelessly in remote locations has fundamentally changed our understanding of evolutionary biology in ways previously thought impossible.

語順リーディング
The scientific theory
「科学理論」が主語として登場。この後に詳しい説明が続く予感。
that emerged from experiments
脇道に入った(関係詞節) - その理論が「実験から現れた・生まれた」という説明。述語動詞
conducted by a team
脇道に入った(分詞構文) - 脇道の中の脇道。実験が「チームによって行われた」という受身の分詞による修飾。
working tirelessly in remote locations
さらに深い脇道。チームが「人里離れた場所で疲れ知らずに働いている」という現在分詞による修飾。
has changed our understanding
ようやく主節の述語動詞に到達。理論が「私たちの理解を変えた」という現在完了。述語動詞
of evolutionary biology
「進化生物学の」理解を変えた。
in ways previously thought impossible.
「以前は不可能だと思われていた方法で」という副詞句。文が完結した。
和訳プロセス
① コアイメージでざっくり捉える
theory「理論・考え」 / emerged「浮上した・出現した」→ 実験から / conducted「導く・案内する」→ 実験を実行・実施 / working「働く」→ たゆまずに / tirelessly「疲れなしに」 / remote「離れた」場所で / changed「変える」→ 理解を / understanding「理解・把握」 / evolutionary「進化の」/ previously「以前に」/ impossible「不可能な」
② 文脈に応じた適切な日本語
**人里離れた場所で疲れ知らずに働くチームによって実施された実験から生まれた科学理論は、以前は不可能だと考えられていた方法で、進化生物学に対する私たちの理解を根本的に変えた。**
emergedは理論が「生まれた・現れた」という自然な発生のニュアンス。conductedは実験を「実施した・行った」と学術的な文脈で訳出。fundamentallyは「根本的に」として強調。ways previously thought impossibleは「以前は不可能だと考えられていた方法で」として、研究の革新性を表現。

まとめ

  • 関係詞+分詞構文の複合では「脇道の中の脇道」という多重構造が生まれる
  • 分詞構文で始まって関係詞節が入るパターンと、関係詞節内で分詞構文が使われるパターンがある
  • 語順リーディングでは脇道に入るたびに「どの脇道にいるか」を明確に意識する
  • 主節の述語動詞を見つけるまでは、すべての情報を主語の詳細説明として処理する
  • 各修飾構造がどこで始まりどこで終わるかを丁寧に追跡することが重要
  • 完了形分詞(Having done)や受身分詞(done by)など、分詞の種類によって意味関係が変わる
  • 和訳では構造の複雑さに惑わされず、コアイメージから自然な日本語を組み立てる

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