第15章 名詞構文と無生物主語

同格の of と格関係の of ─ of の多義性

前置詞ofは同格(the city of Tokyo)、主格(the arrival of the train)、目的格(the study of English)など多様な関係を示します。
語順リーディングでは「ofが来た→前の名詞との関係は何か」を瞬時に判断する感覚を身につけます。
和訳では、この関係を明確にして自然な日本語に仕上げていきます。

1ofの多義性と語順リーディングの考え方

英語の前置詞ofは、想像以上に多くの関係を表現します。the city of Tokyo(同格)、the arrival of the train(主格)、the study of English(目的格)のように、前後の名詞の関係が大きく異なります。

語順リーディングでofに出会ったときは、「前の名詞と後ろの名詞がどんな関係にあるのか」を文脈から瞬時に判断します。日本語に翻訳する段階で初めて、その関係性を明確に表現していきます。

ofの基本的な関係パターン
  • 同格のof: the city of Tokyo(東京という都市)、the month of December(12月という月)
  • 主格のof: the arrival of the train(電車が到着すること)、the death of the king(王が死ぬこと)
  • 目的格のof: the study of English(英語を学ぶこと)、the reading of books(本を読むこと)
  • 所有のof: the roof of the house(家の屋根)、the pages of this book(この本のページ)
語順リーディングの判断プロセス

「A of B」の構造を見たとき、AとBが「同じもの」なのか、Bが「Aをする主体」なのか、Bが「Aの対象」なのかを、文脈や動詞の性質から判断します。この判断は瞬間的に行い、読み進めていきます。

2主格のofと目的格のofの基本識別

例文

The discovery of the vaccine by Dr. Johnson represents a breakthrough in the treatment of the disease.

語順リーディング
The discovery of the vaccine
「ワクチンの発見」。discovery(発見)は動詞discoverから来ているので、「誰かがワクチンを発見した」という意味。vaccineは発見の対象なので、目的格のof。
by Dr. Johnson
「ジョンソン博士によって」。発見の主体が明示された。
述語動詞 represents
「〜を表している」。主語はThe discovery of the vaccine by Dr. Johnson全体。
a breakthrough in the treatment of the disease.
「その病気の治療における画期的進歩」。treatment of the diseaseは「その病気を治療すること」で、目的格のof。
和訳プロセス
① 単語のコアイメージをもとに意味をざっくり捉える
The discovery of the vaccine by Dr. Johnson → ジョンソン博士によるワクチンの発見は
represents → 〜を表している
a breakthrough in the treatment of the disease → その病気の治療における画期的進歩を
② コアイメージの範囲内で、文脈に応じ適切な日本語にする
ジョンソン博士によるワクチンの発見は、その病気の治療における画期的進歩を表している。
「discovery of the vaccine」と「treatment of the disease」はどちらも目的格のofですが、日本語では「〜の」で自然に表現できます。動作主がbyで示されているため、関係が明確になっています。

3複数のofが混在する複雑な構造

例文

The analysis of the impact of climate change on agricultural productivity in the regions of Southeast Asia requires comprehensive data collection.

語順リーディング
The analysis of the impact
「影響の分析」。analysis(分析)は「何かを分析する」行為なので、impactが分析の対象。目的格のof。
of climate change
「気候変動の」。climate changeが「impact(影響)を与える主体」なので、主格のof。つまり「気候変動が与える影響」。
on agricultural productivity
「農業生産性に対する」。impactの対象を示している。
in the regions of Southeast Asia
「東南アジアの地域において」。regions of Southeast Asiaは「東南アジアという地域」で、同格のof。
述語動詞 requires
「〜を必要とする」。長い主語部分が終わって、述語動詞に到達。
comprehensive data collection.
「包括的なデータ収集を」。
和訳プロセス
① 単語のコアイメージをもとに意味をざっくり捉える
The analysis of the impact of climate change → 気候変動の影響の分析は
on agricultural productivity → 農業生産性への
in the regions of Southeast Asia → 東南アジア地域における
requires → 〜を必要とする
comprehensive data collection → 包括的なデータ収集を
② コアイメージの範囲内で、文脈に応じ適切な日本語にする
東南アジア地域における気候変動が農業生産性に与える影響の分析には、包括的なデータ収集が必要である。
「impact of climate change」(主格)と「regions of Southeast Asia」(同格)、そして全体を包む「analysis of〜」(目的格)という3つのofを整理し、「気候変動が〜に与える影響を分析する」という構造を明確にして訳出しました。

4この記事のまとめ

  • ofは同格、主格、目的格、所有格など多様な関係を表現する多義的な前置詞です
  • 語順リーディングでは「A of B」を見た瞬間に、AとBの関係を文脈から判断します
  • 同格のofは「BというA」、主格のofは「BがAする」、目的格のofは「AがBを〜する」を表します
  • 複数のofが現れる文では、それぞれの関係を整理してから全体構造を把握します
  • 和訳では、ofの関係性を明確にして自然な日本語表現を選択します
  • 動作主がbyで示される場合、ofの格関係がより明確になります
  • 語順リーディングの習慣により、複雑なof構造も瞬時に処理できるようになります

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