第14章 比較構文

比較の基本構造 ─ 比較対象の確定

比較構文では「何と何を比べているか」の確定が最も重要です。
語順リーディングでは、比較級が現れた瞬間に「thanが来るはず」と予測し、thanの後に続く要素で比較対象を特定します。
「後ろから訳す」のではなく、英語の語順のままで比較の関係を理解することがポイントです。

1比較構文の読み方の基本

比較構文を読む際の最大の課題は、比較対象の確定です。英語の比較構文では、しばしば比較する2つの要素が文中で離れた位置に現れるため、何と何を比べているかを正確に把握する必要があります。

語順リーディングでは、比較級が出現した瞬間に「thanが来る」と予測し、thanの後に続く要素で比較対象を確定します。この予測により、文の構造を先回りして理解できるようになります。

比較構文の語順リーディングポイント
  • 比較級の検出: -er形や more が現れたら「than が来る」と予測
  • 比較対象の確定: than の後の要素で何と何を比べているかを判断
  • 省略の補完: than の後で省略されている要素を意識的に補う
従来の「後ろから訳す」アプローチとの違い

従来は「This book is more interesting than that one.」を「あの本よりもこの本の方が面白い」と後ろから訳すことが多いですが、語順リーディングでは「この本は→より面白い→あの本よりも」と語順通りに理解します。

2基本的な比較級構文

例文

Modern technology has made communication faster than traditional methods ever could.

語順リーディング
Modern technology
現代の技術が主語として登場。何かについて述べる文になりそう。
has made
現在完了の使役動詞。「~を~にした」という構造。何をどうしたのか。
communication faster
communicationを faster にした、つまり「通信をより速くした」。faster は比較級なので、than が来るはず。
than traditional methods
予想通り than が登場。「従来の方法」と比較している。現代技術 vs 従来方法の比較だとわかる。
ever could.
「これまでにできた」。could の後には make communication fast が省略されている。従来方法が実現できた速さと現代技術が実現した速さを比較。
和訳プロセス
① 単語のコアイメージをもとに意味をざっくり捉える
Modern technology → 現代の技術は
has made → ~を~にした
communication faster → 通信をより速く
than traditional methods ever could → 従来の方法がこれまでできたよりも
② コアイメージの範囲内で、文脈に応じ適切な日本語にする
現代の技術は、従来の方法がこれまでできたよりも通信を速くした。
現代技術の発達により、通信速度が従来方法では達成不可能だったレベルまで向上したという意味。比較の核心は「通信速度」であり、「現代技術による速度」と「従来方法による速度」を対比している。

3比較対象が離れた複雑な構文

例文

The impact of social media on young people's behavior is more significant than researchers had initially predicted it would be.

語順リーディング
The impact of social media
「ソーシャルメディアの影響」が主語の始まり。長い主語になりそう。
on young people's behavior
「若者の行動に対する」影響。主語の詳細が続く。
is more significant
「より重要である」。more があるので than が来るはず。何と比較するのか。
than researchers
予測した than が登場。「研究者たち」と比較。でも「影響」と「研究者」の直接比較ではないはず。
had initially predicted
「当初予測していた」。研究者たちが何かを予測していた。過去完了なので、より過去の話。
it would be.
「それ(影響)がそうなるだろうと」。it = the impact, would be = would be significant。つまり「実際の影響の重要度」vs「研究者が予測した重要度」の比較。
和訳プロセス
① 単語のコアイメージをもとに意味をざっくり捉える
The impact of social media on young people's behavior → 若者の行動に対するソーシャルメディアの影響は
is more significant → より重要である
than researchers had initially predicted → 研究者たちが当初予測していた
it would be → それ(影響)がそうなるだろう(重要になるだろう)と(いうこと)よりも
② コアイメージの範囲内で、文脈に応じ適切な日本語にする
若者の行動に対するソーシャルメディアの影響は、研究者たちが当初予測していたよりも重要である。
この文では「実際の影響の重要度」と「研究者が予測した影響の重要度」を比較している。than以下の構造が複雑で、「researchers had predicted (that) it would be significant」のうち「that」と「significant」が省略されているため、比較対象の確定に注意が必要。

4まとめ

  • 比較構文では比較級が現れた瞬間に「than」の出現を予測し、比較対象を確定する
  • 語順リーディングでは英語の語順通りに「A は B よりも~だ」という流れで理解する
  • than の後に続く要素を注意深く観察し、何と何を比べているかを正確に把握する
  • than 節内では動詞や形容詞が省略されることが多いため、文脈から補完する
  • 複雑な比較構文では、比較する2つの要素が文中で離れて現れることがある
  • 「後ろから訳す」のではなく、英語の語順のまま比較関係を理解することで読解速度が向上する

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