第13章 仮定法

仮定法の条件節バリエーション ─ if 以外の条件表現

仮定法では、ifを使わずに仮定の条件を表現する方法があります。without、but for、otherwise、supposeなどの表現は、文脈から「実際とは異なる仮想の状況」を示唆します。語順リーディングでは、これらのキーワードから仮定法のニュアンスを感じ取ることが重要です。

1if以外の仮定法条件表現

仮定法は必ずしも「if + 仮定法動詞」の形を取るとは限りません。withoutbut forotherwisesupposeなどの表現も、「実際とは違う仮想の状況」を表す条件節として機能します。

語順リーディングでは、これらのキーワードを見た瞬間に「あ、これは仮定の話だな」と感じ取ることがポイントです。ifがなくても、文脈から仮定法のニュアンスを読み取る力が求められます。

if以外の仮定法表現の見抜き方
  • without / but for:「〜がなければ」という否定的仮定
  • otherwise:「そうでなければ」という対比的仮定
  • suppose / supposing:「もし〜だとしたら」という仮定の導入
  • if it were not for:「もし〜がなければ」という丁寧な仮定
発展:仮定法の省略構造

without や but for の後に続くのは名詞句のみです。これは実質的に「if + there were no〜」や「if + we did not have〜」といった仮定法の条件節を圧縮した形と考えられます。このような省略構造も仮定法の特徴の一つです。

2without / but forを使った仮定法

例文 1

Without modern technology, scientific research would be impossible on such a large scale.

語順リーディング
Without modern technology,
withoutが出た時点で「もし〜がなかったら」という仮定法の匂いを感じる。「現代技術なしには」という仮定の条件が来た。
scientific research
「科学研究は」という主語。仮定法の帰結節が始まる予感。
would be
── ここまでが主語。仮定法の典型的なパターンwould be。「〜だろう」という推測の意味が加わる。
impossible
「不可能な」という補語。研究が不可能になるという帰結。
on such a large scale.
「これほど大規模で」という程度を表す副詞句で文が完結。
和訳プロセス
① 単語のコアイメージをもとに意味をざっくり捉える
Without modern technology, → 現代技術がなければ、
scientific research → 科学研究は
would be → 〜だろう
impossible → 不可能な
on such a large scale. これほど大規模では
② コアイメージの範囲内で、文脈に応じ適切な日本語にする
現代技術がなければ、これほど大規模な科学研究は不可能だろう。
without + 名詞句は「もし〜がなかったら」という仮定法の条件を表します。主節のwould beが「〜だろう」という推定の意味を込めた仮定法の帰結を示しています。

3otherwiseやsupposeを使った複雑な仮定法

例文 2

The government invested heavily in education. Otherwise, the economic development that we witness today would never have occurred.

語順リーディング
The government invested heavily in education.
── 「政府は教育に多額の投資をした」という事実の記述。普通の過去時制。
Otherwise,
「そうでなければ」という仮定の導入。前文の事実と対比する仮想の状況を想定している。
the economic development
「経済発展は」という主語。関係詞節が続きそうな予感。
that we witness today
脇道に入った(関係詞節)「今日私たちが目撃している」という修飾。developmentを説明している。脇道内の動詞。本筋の述語動詞はまだ先にある。
would have occurred.
── the economic developmentが主語だったと確定。仮定法過去完了の帰結節。never は否定の副詞で「決して起こらなかっただろう」。過去の事実に反する仮定の結果を示している
和訳プロセス
① 単語のコアイメージをもとに意味をざっくり捉える
The government invested heavily in education. → 政府は教育に多額の投資をした。
Otherwise, → そうでなければ、
the economic development → 経済発展は
that we witness today → 今日私たちが目撃している
would never have occurred. 決して起こらなかっただろう
② コアイメージの範囲内で、文脈に応じ適切な日本語にする
政府は教育に多額の投資をした。そうでなければ、今日私たちが目撃している経済発展は決して起こらなかっただろう。
otherwiseは前文の事実と対比して「もしそうでなかったら」という仮定を導入します。would never have occurredは仮定法過去完了で、「実際には起こったが、条件が違えば起こらなかっただろう」という過去の事実に反する推測を表しています。

4まとめ

  • without、but forは「〜がなければ」という否定的な仮定条件を表し、実質的にif節の省略形として機能する
  • otherwiseは前文の事実と対比して「そうでなければ」という仮定を導入し、主節で仮定法の帰結を示す
  • supposeやsupposingは「もし〜だとしたら」という仮定を導入する表現として使われる
  • if it were not forは「もし〜がなければ」という丁寧で正式な仮定表現
  • 語順リーディングでは、これらのキーワードを見た瞬間に仮定法のニュアンスを感じ取ることが重要
  • 主節の動詞形(would + 原形、would have + 過去分詞)から現在・過去どちらの仮定法かを判断する

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