第6部 第13章

仮定法の基本 ─ 「事実」と「仮」を見分ける

仮定法は「現実とは異なる仮想の状況」を表現する文法です。語順リーディングでは、時制のずれを感じ取って仮定法を認識し、「実際とは違うことを言っている」と理解します。
わざわざ時制をずらして表現するのは、話し手が「これは現実ではない」というメッセージを込めているからです。
仮定法過去と仮定法過去完了の違いを、語順に沿って正確に読み取る方法を学びましょう。

1仮定法の見分け方

仮定法を見分ける最大のポイントは時制のずれです。現在の話なのに過去形が使われていたり、過去の話なのに過去完了形が使われていたりします。

語順リーディングでは、この時制のずれを感じ取った瞬間に「あ、これは仮定法だな。現実とは違うことを言っているんだな」と判断します。

仮定法認識の3ステップ
  • 時制のずれを感じ取る(現在の話に過去形、過去の話に過去完了形)
  • 「仮定法だ」と認識する
  • 「事実とは反対のことを言っている」と理解する
仮定法の2つの基本パターン

仮定法過去:現在の仮定(If S + 過去形, S + would/could/might + 動詞原形)

仮定法過去完了:過去の仮定(If S + had p.p., S + would/could/might + have p.p.)

2現在の仮定を読む

例文1

If I were a billionaire, I would establish a research institute dedicated to solving climate change.

語順リーディング
If I were a billionaire,
もし私が億万長者だったら。あれ、現在の話なのに述語動詞が過去形(were)になっている。これは仮定法だ。実際には私は億万長者ではないということを表している。
I would establish
私は設立するだろう。述語動詞がwould + 動詞原形。仮定法の帰結部分だ。
a research institute
研究機関を。何を設立するかが明確になった。
dedicated to solving climate change.
気候変動の解決に特化した。research instituteを修飾している過去分詞。どんな研究機関かが具体的に示された。
和訳プロセス
① 単語のコアイメージをもとに意味をざっくり捉える
If I were a billionaire, → もし私が億万長者だったら
I would establish → 私は設立するだろう
a research institute → 研究機関を
dedicated to solving climate change → 気候変動の解決に特化した
② コアイメージの範囲内で、文脈に応じ適切な日本語にする
もし私が億万長者だったら、気候変動の解決に特化した研究機関を設立するだろう。
現在の事実に反する仮想の状況を述べています。話し手は実際には億万長者ではないが、そうだったらこうするのに、という気持ちを表現しています。

3過去の仮定を読む

例文2

If the ancient Library of Alexandria had not been destroyed, countless historical documents that could have revolutionized our understanding of early civilizations would still exist today.

語順リーディング
If the ancient Library of Alexandria
もし古代アレクサンドリア図書館が。主語が長い。Ifで始まっているので条件を述べている。
had not been destroyed,
破壊されていなかったら。述語動詞が過去完了形の受動態。過去のことなのに過去完了を使っている。仮定法過去完了だ。実際には破壊されたということ。
countless historical documents
数え切れないほどの歴史的文書が。主語が来た。何が今も存在するだろうという話になりそう。
that could have revolutionized
脇道に入った(関係詞節)。その文書が革命を起こすことができただろう。could have + 過去分詞で「〜することができただろうに」。
our understanding of early civilizations
初期文明に関する我々の理解を。何を革命的に変えることができたかが明確になった。
would still exist today.
今日もまだ存在するだろう。述語動詞がwould + 動詞原形。仮定法の帰結部分。実際には今は存在しないということ。
和訳プロセス
① 単語のコアイメージをもとに意味をざっくり捉える
If the ancient Library of Alexandria → もし古代アレクサンドリア図書館が
had not been destroyed, → 破壊されていなかったら
countless historical documents → 数え切れないほどの歴史的文書が
that could have revolutionized → 革命を起こすことができただろう
our understanding of early civilizations → 初期文明に関する我々の理解を
would still exist today → 今日もまだ存在するだろう
② コアイメージの範囲内で、文脈に応じ適切な日本語にする
もし古代アレクサンドリア図書館が破壊されていなかったら、初期文明に関する我々の理解を革命的に変えることができただろう数え切れないほどの歴史的文書が、今日もまだ存在するだろう。
過去の事実に反する仮想の状況とその結果を述べています。実際には図書館は破壊され、貴重な文書も失われてしまったという現実への嘆きが込められています。

4まとめ

  • 仮定法の見分けは「時制のずれ」がポイント。現在の話に過去形、過去の話に過去完了形が使われる
  • 語順リーディングでは、時制のずれを感じた瞬間に「仮定法→事実の逆」と判断する
  • 仮定法過去は「If S + 過去形, S + would + 動詞原形」で現在の仮定を表す
  • 仮定法過去完了は「If S + had p.p., S + would have p.p.」で過去の仮定を表す
  • 仮定法は話し手の「現実とは違う」というメッセージを込めた表現方法
  • 条件部分で述べられることは事実とは反対のことが真実
  • 帰結部分は「もしそうだったら」という仮想の結果を示す
  • 関係詞節内でも仮定法が使われることがあり、同じ原則で理解できる

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