第10章 省略 - 記事10-3

関係代名詞の省略 ─ 目的格の省略を見抜く

関係代名詞の省略は、英文読解で頻出の現象です。特に目的格の省略は、文構造を見えにくくするため混乱の元となります。
今回は、省略された関係代名詞を見抜く視点を身につけ、複雑な文でも語順通りに読み進める技術を習得しましょう。
6-2で学んだ基礎知識を発展させ、入試レベルの実戦的なパターンを攻略していきます。

1省略された関係代名詞を見抜く視点

関係代名詞の省略が起こるのは、目的格の関係代名詞(who/whom, which, that)だけです。主格は省略されません。省略が起こると、文の表面上は「名詞+動詞」が連続して現れますが、実際にはその間に省略された関係代名詞があります。

省略を見抜くポイントは、名詞の後にいきなり主語+動詞の塊が現れた時に「ここに関係代名詞が省略されているのでは」と疑うことです。特に、前置詞句や分詞句などの修飾要素が絡むと、文構造がより複雑に見えてしまいます。

省略された関係代名詞を見抜く3つのステップ
  • 名詞の直後に「主語+動詞」の塊が来ていないかチェック
  • その「主語+動詞」が前の名詞を修飾する内容かどうか判断
  • 関係代名詞を補って文構造を整理し、語順通りに読み進める
発展:関係代名詞省略の頻度

学術論文や新聞記事では、文を簡潔にするため関係代名詞の省略が頻繁に行われます。特にthatの省略は日常的で、ネイティブスピーカーも自然に省略して話します。読解力向上のためには、省略パターンに慣れることが重要です。

2前置詞句が絡む関係代名詞省略文の攻略

例文1

The research findings we discussed in the conference last month have revolutionized our understanding of climate change.

語順リーディング
The research findings
「研究結果」について話が始まる。この後、どんな研究結果なのか詳しい情報が来るはず。
we discussed
脇道に入った(関係詞節)。「私たちが議論した」という内容で、前の「研究結果」を修飾している。関係代名詞が省略されている。discussedが現れた。
in the conference last month
「先月の会議で」。discussedの状況を詳しく説明している。まだ関係詞節の中。
have revolutionized
脇道から戻って、メインの述語動詞が登場。主語は「研究結果」。「革命をもたらした」という意味。
our understanding of climate change
「気候変動に対する私たちの理解」。revolutionizedの目的語。文が完結した。
和訳プロセス
① 単語のコアイメージをもとに意味をざっくり捉える
The research findings → 研究結果は
we discussed in the conference last month → 私たちが先月の会議で議論した
have revolutionized → 革命をもたらした
our understanding of climate change → 気候変動に対する私たちの理解を
② コアイメージの範囲内で、文脈に応じ適切な日本語にする
**私たちが先月の会議で議論した研究結果は、気候変動に対する私たちの理解に革命をもたらした。**
関係代名詞の省略を見抜けば、「研究結果は〜革命をもたらした」という主語・述語の関係が明確になります。前置詞句「in the conference last month」が長くても、基本構造を見失わずに読み進められます。

3複雑に入り組んだ関係詞節省略文の攻略

例文2

The solutions the team proposed during the emergency meeting we held yesterday seem impractical given the budget constraints we currently face.

語順リーディング
The solutions
「解決策」が主語。どんな解決策なのか、詳しい説明が続くはず。
the team proposed
脇道に入った(関係詞節)。「チームが提案した」で、前の「解決策」を修飾。関係代名詞が省略されている。proposedが現れた。
during the emergency meeting
「緊急会議の間に」。proposedの状況を説明。まだ関係詞節の中にいる。
we held yesterday
さらに脇道に入った(関係詞節)。「私たちが昨日開いた」で、前の「緊急会議」を修飾。またも関係代名詞が省略されている。heldが現れた。
seem impractical
脇道から戻って、メインの述語動詞が登場。主語は「解決策」。「非実用的に見える」という意味。
given the budget constraints
「予算制約を考えると」。givenは「〜を考慮すると」という意味の前置詞的用法。
we currently face
また脇道に入った(関係詞節)。「私たちが現在直面している」で、前の「予算制約」を修飾。faceが現れた。文が完結。
和訳プロセス
① 単語のコアイメージをもとに意味をざっくり捉える
The solutions → 解決策は
the team proposed → チームが提案した
during the emergency meeting we held yesterday → 私たちが昨日開いた緊急会議の間に
seem impractical → 非実用的に見える
given the budget constraints we currently face → 私たちが現在直面している予算制約を考えると
② コアイメージの範囲内で、文脈に応じ適切な日本語にする
**私たちが昨日開いた緊急会議でチームが提案した解決策は、私たちが現在直面している予算制約を考えると、非実用的に見える。**
この文には3つの関係代名詞の省略があります。「solutions (that) the team proposed」「meeting (that) we held」「constraints (that) we currently face」です。省略を意識して読めば、複雑な構造でも主語「解決策」と述語「見える」の関係を見失わずに済みます。

4まとめ

  • 関係代名詞の省略は目的格(who/whom, which, that)でのみ起こり、主格は省略されない
  • 名詞の直後に「主語+動詞」の塊が現れたら、関係代名詞の省略を疑う
  • 省略された関係代名詞を補って考えることで、文の骨格が見えてくる
  • 前置詞句や分詞句が絡んでも、基本の「名詞+関係詞節+メイン動詞」の流れを意識する
  • 関係詞節が複数入れ子になっても、一つずつ「脇道」として処理していけばよい
  • 語順通りに読み進め、脇道から戻った時にメインの動詞を見つける
  • 和訳では、関係詞節を適切な位置に配置して自然な日本語にする

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