第1章 英語の語順で読む

主語が長い文 ─ 本筋の動詞を待つ力

英文では主語が10語、20語と長くなることがあります。この記事では、主語がどれだけ長くても動詞が現れるまで「まだ主語が続いている」と構えて読む力を身につけます。
前置詞句やto不定詞句によって主語が長くなるパターンを見ながら、焦らず本筋の動詞を待つコツを学びます。
語順通りに読む力の第二段階として、長い主語に惑わされない読解技術を習得しましょう。

1長い主語の本質を理解する

英語では、日本語と比べて主語が非常に長くなることがあります。特に学術文や論説文では、主語だけで15語、20語を超えるケースも珍しくありません。

日本語話者にとって難しいのは、「まだ主語が続いているのか、それとももう動詞に入っているのか」の判断です。動詞が現れるまで粘り強く待つ力が、長文読解の基礎となります。

主語を長くする要素として、次のパターンが代表的です:

  • 前置詞句による修飾(in the library, with great enthusiasm など)
  • to不定詞句(to solve this problem, to understand the theory など)
  • 関係詞による修飾(who studies hard, which was built last year など)
  • 分詞による修飾(written by the author, working in the lab など)
長い主語を読むコツ
  • 動詞らしき語が現れるまで、基本的に「主語がまだ続いている」と考える
  • 前置詞(in, on, with, for など)が現れたら、主語の修飾部分に入ったと判断
  • to不定詞も主語を修飾する要素として頻出するので、慌てない
  • 動詞が現れた瞬間に「ああ、ここから述部だな」と切り替える
発展:主語の境界を見極める技術

上級者になると、文頭から読み進めながら「この語は主語の一部か、それとも動詞か」を瞬時に判断できるようになります。これは品詞の知識と語順の理解が組み合わさって身につく技能です。特に、動詞の活用形(三人称単数のs、過去形、現在分詞など)を正確に識別できると、主語と述語の境界がクリアになります。

2例文1:前置詞句で長くなる主語

例文1

The research project on climate change in developing countries during the past decade reveals significant environmental challenges.

語順リーディング ─ 頭から読んでいく
The research project
「その研究プロジェクト」。これが主語の核になりそう。でも、まだ続きがありそうな予感。
on climate change
「気候変動に関する」。前置詞onが来たので、research projectを修飾する部分に入った。主語はまだ続いている。
in developing countries
「発展途上国における」。またも前置詞in。climate changeをさらに詳しく説明している。まだ主語の中。
during the past decade
「過去10年間の」。前置詞duringで時間的な限定。主語がどんどん具体的になってくる。
reveals
ついに動詞が現れた。三人称単数形のreveal「明らかにする」。長い主語がここで完結。
significant environmental challenges
「重大な環境問題を」。revealsの目的語。主語が何を明らかにするのかが示された。
和訳プロセス ─ チャンクから日本語へ
① 各単語のコアイメージをもとに意味をざっくり捉える
The research project → その研究プロジェクトは
on climate change → 気候変動に関する
in developing countries → 発展途上国における
during the past decade → 過去10年間の
reveals → 明らかにしている
significant environmental challenges → 重大な環境問題を
② コアイメージの範囲内で、文脈に応じ適切な日本語にする
過去10年間における発展途上国の気候変動に関する研究プロジェクトは、重大な環境問題を明らかにしている。
長い主語を日本語にする際は、修飾関係を整理して自然な語順に並び替えます。英語では「research project on climate change in developing countries during the past decade」と前から修飾していきますが、日本語では「過去10年間における発展途上国の気候変動に関する研究プロジェクト」と後ろから修飾する形に調整します。

3例文2:to不定詞句で非常に長くなる主語

例文2

To understand the complex relationship between economic growth and environmental protection in rapidly industrializing nations without compromising future generations' well-being requires comprehensive policy reforms at multiple levels.

語順リーディング ─ 頭から読んでいく
To understand
文頭にTo不定詞。これは主語になるパターンかもしれない。「理解すること」という行為について話していく構え。
the complex relationship
「複雑な関係を」。understandの目的語。何を理解するのかが明確になってきた。
between economic growth and environmental protection
「経済成長と環境保護の間の」。relationshipの中身が具体化された。まだTo不定詞句の中にいる。
in rapidly industrializing nations
「急速に工業化している国々において」。前置詞inで場所的限定。主語のTo不定詞句がさらに長くなっている。
without compromising future generations' well-being
「将来世代の福祉を損なうことなく」。前置詞withoutで条件を付加。理解する際の制約条件を示している。主語はまだまだ続く。
requires
ようやく動詞が登場。「必要とする」。長大なTo不定詞主語がここで完結して述部に入った。
comprehensive policy reforms
「包括的な政策改革を」。requiresの目的語。何が必要なのかが示される。
at multiple levels
「複数のレベルでの」。policy reformsをさらに詳しく説明する前置詞句。
和訳プロセス ─ チャンクから日本語へ
① 各単語のコアイメージをもとに意味をざっくり捉える
To understand → 理解すること
the complex relationship → 複雑な関係を
between economic growth and environmental protection → 経済成長と環境保護の間の
in rapidly industrializing nations → 急速に工業化している国々において
without compromising future generations' well-being → 将来世代の福祉を損なうことなく
requires → 必要とする
comprehensive policy reforms → 包括的な政策改革を
at multiple levels → 複数のレベルでの
② コアイメージの範囲内で、文脈に応じ適切な日本語にする
急速に工業化している国々において、将来世代の福祉を損なうことなく経済成長と環境保護の間の複雑な関係を理解することは、複数のレベルでの包括的な政策改革を必要とする。
To不定詞句主語は日本語では「〜すること」として表現します。この文では25語を超える長大な主語ですが、「理解すること」という行為が「政策改革を必要とする」という構造で読み取れます。英語の語順で理解してから、日本語として自然な流れに整理することがポイントです。

4まとめ

  • 英語では主語が10語、20語と長くなることが頻繁にあり、動詞が現れるまで粘り強く待つ力が必要です
  • 前置詞句(in, on, with, during など)は主語を修飾する代表的な要素で、主語をどんどん長くしていきます
  • To不定詞句も主語になることがあり、特に学術的な文章では非常に長大になる場合があります
  • 動詞が現れた瞬間に「ここから述部」と切り替える意識を持つことが重要です
  • 語順リーディングでは「まだ主語が続いている」という構えを保ち、焦らず本筋の動詞を待ちます
  • 和訳する際は、英語の語順で理解してから日本語として自然な修飾関係に整理し直します
  • 長い主語に慣れることで、複雑な英文でも構造を見失わずに読み進められるようになります

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