序章 英単語のコアイメージ

英単語は「一語一訳」ではない ─ コアイメージという考え方

英単語には複数の日本語訳があります。それは偶然ではありません。
各単語には一つの「核となる意味」があり、そこから文脈に応じて様々な日本語になるのです。
この発想の転換こそが、英語を理解する鍵となります。

1なぜ英単語は多義語なのか

中学校や高校で習った英単語を思い出してみましょう。run という動詞は「走る」と覚えていても、実際の英文では「経営する」「流れる」「動く」といった意味で使われることがあります。get は「得る」だけでなく「〜になる」という意味でも頻出します。

これらは別々の意味を暗記すべき「多義語」ではありません。すべて一つの根本的なイメージから生まれているのです。そのイメージをコアイメージと呼びます。

コアイメージとは
  • 英単語が持つ「核となる意味」のこと
  • 日本語の訳語ではなく、イメージや概念で捉える
  • 文脈によって、コアイメージから適切な日本語を導く

2run で実感する ─ 連続的な移動・進行

run のコアイメージは「連続的に移動・進行する」です。このイメージから様々な日本語が生まれることを実際の例文で確認してみましょう。

例文 A

She runs in the park every morning.

語順リーディング
She runs
彼女が何かを連続的にやっている 述語動詞
in the park
公園で(場所の詳細)
every morning.
毎朝(時の詳細)
和訳プロセス
① コアイメージから意味をつかむ
run のコアイメージ「連続的に移動・進行する」が公園という場所で起きている。体を使った連続的移動の文脈。
② 文脈に応じた適切な日本語にする
「彼女は毎朝公園で走っている。」
公園という場所での連続的移動なので、「走る」という訳語が最も自然です。
例文 B

He runs a small business.

語順リーディング
He runs
彼が何かを連続的に進行させている 述語動詞
a small business.
小さなビジネスを(対象)
和訳プロセス
① コアイメージから意味をつかむ
run のコアイメージ「連続的に移動・進行する」がビジネスという対象に向けられている。事業を継続的に動かす文脈。
② 文脈に応じた適切な日本語にする
「彼は小さな事業を経営している。」
ビジネスを継続的に進行させる文脈なので、「経営する」という訳語が適切です。

3get で実感する ─ 手に入れる・ある状態になる

get のコアイメージは「手に入れる・ある状態になる」です。何かを獲得したり、ある状態に到達したりするイメージから、文脈に応じて訳語が決まります。

例文 C

I got tired after the long meeting.

語順リーディング
I got tired
私が疲れた状態を手に入れた 述語動詞
after the long meeting.
長い会議の後で(時の詳細)
和訳プロセス
① コアイメージから意味をつかむ
get のコアイメージ「ある状態になる」で、tired(疲れた)という状態に到達した。長い会議が原因となって状態が変化した文脈。
② 文脈に応じた適切な日本語にする
「長い会議の後で私は疲れた。」
状態変化の文脈なので、「疲れた状態になった」つまり「疲れた」と訳します。

4まとめ ─ コアイメージから始まる英語理解

英単語は「一語一訳」ではありません。各単語にはコアイメージがあり、そこから文脈に応じて適切な日本語を導き出すのが自然な理解プロセスです。

コアイメージ学習のメリット
  • 暗記する訳語が減り、理解が深まる
  • 知らない用法に出会っても推測できる
  • 英語らしい発想で文章を読める

この記事のポイント

  • 英単語の複数の意味は、一つのコアイメージから生まれている
  • runのコアは「連続的に移動・進行する」→「走る」「経営する」「流れる」
  • getのコアは「手に入れる・ある状態になる」→「得る」「〜になる」
  • コアイメージを理解すれば、訳語暗記から解放される
  • 文脈に応じて、コアイメージから適切な日本語を導くのが和訳のコツ
  • この考え方が、英語を語順通りに理解する基盤となる

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